21時間目

「幸せのレシピ学」

-誰のためにつくる? 何のためにつくる?-

オンデマンド講座(40分版)
 
超抜粋版

  • 講師:弓削 啓太 先生(SALONE2007 料理長)
  • 日時:2024年2月18日(日)
  • 会場:SAGA CHIKA(佐賀県庁地下1階)

講座レポート

21時間目の講座のテーマは「幸せのレシピ学」。講師にお迎えしたのは、横浜に店を構えるイタリアンレストランSALONE2007の料理長・弓削啓太シェフです。パスタ界のワールドカップと言われる『パスタ・ワールド・チャンピオンシップ2019』でNo.1に輝き、登録者数19万人超えのユーチューバーでもあります。講座では、弓削シェフの料理人としての始まりや仕事との向き合い方を深掘りしつつ、お楽しみの試食タイムまでご用意!パスタ世界一のラザニアが振舞われるとあって、受講生はもちろん観覧で会場を訪れた皆さんも、始まる前からワクワクがとまりません。

まずは、弓削シェフの人生をひもときます。子どもの頃から料理と関わりが深いのかと思いきや、元気いっぱいの野球少年で高校2年生の時には甲子園にも出場しています。青春をかけた野球で特別推薦を受け、順風満帆な大学進学のはずがまさかの不合格。
「受かると思ってたから、びっくりして頭が真っ白になりましたよ」と弓削シェフ。
他の大学を受験する気力もなく、高校卒業後はワーキングホリデーを利用してカナダへ。現実逃避にも近い状態でしたが、海外へ渡ったことが大きな転機になりました。

現地レストランで皿洗いのアルバイトを始め、その店の料理長からすすめられたのをきっかけに料理学校へ。カナダで料理人生がスタートし、21歳で帰国。「せっかくなら一流のレストランで働きたい!」と、東京の老舗グランメゾン「シェ・イノ」に入店します。当初は料理人ではなくホール担当でしたが、2か月後には英語ができるというだけでフランス人パティシエのアシスタントに抜擢。その後4年間の経験を経て、フランスへ渡ります。「せっかくなら三ツ星レストランで働きたい!」と12軒のレストランに手紙を書き、見事パリの三ツ星レストランに入店。弓削シェフの行動力と大胆さには驚きっぱなしです。

1年間のフランスでの修行を経て帰国。そのままフレンチの道に進む予定が、ちょっとしたタイミングの違いと新しい出会いからイタリアンへと転向。これがあったからこそ、パスタ世界大会への挑戦につながります。大会には、世界12カ国以上から34歳以下のイタリア料理のシェフが国内予選を経て出場。弓削シェフの初出場は2017年で、結果は3位でした。「優勝はできなかったけど、満足して大会を終えました」。ところが、翌年出場した日本人シェフが敗退。「世界の舞台で日本人を評価してもらいたい」と、2019年に再び大会に出場し、見事リベンジを果たしたのです。

まるで一本のドラマを見ているような弓削シェフの半生を振り返ったところで、お楽しみの試食タイム。皆さんに食べていただいたのは、弓削シェフのYouTubeチャンネルでも紹介されている究極のラザニアです。素材にとことんこだわり、まるでベシャメルソースを食べているような、やさしい味わいとミルキーさ。パスタ生地とソースの一体感が素晴らしく、ふわふわの食感に仕立てられています。会場のあちらこちらから「美味しい!」という声が飛び交い、まさに至福のひとときです。

そもそも弓削シェフがYouTubeを始めたのは、コロナ禍で店が休業してしまったから。
「自分が作った料理で人を喜ばせようと思ったら人数が限られてしまう。どうすればもっと多くの人と美味しさを共有できるか、ずっとモヤモヤしてましたがYouTubeでその悩みが晴れました。いいレシピを配信すれば無限に広がるし、たくさんの人を美味しさで幸せにできます」。パスタ世界一のシェフが創意工夫したレシピのおかげで、おうちごはんの食卓に笑顔が増えたという家庭も多いでしょう。

後半戦では、受講生が事前に提出してくれた“座右の銘”を聞いていきます。ちなみに、弓削シェフの座右の銘は、「一所懸命(いっしょけんめい)」。野球に没頭していた高校時代から、自分を奮い立たせてきた言葉です。“一生”ではなく“一所”なのは、今いる場所で力を尽くして頑張るという意味。自分の思い通りに事が進まなくても、目の前のことを一所懸命の精神で乗り越えてきたからこそ、料理人としての今があるのです。

さて、受講生の皆さんの座右の銘はというと、偉人の名言もあれば母親からの言葉など、これまた心に響く言葉ばかり。選んだ理由とともに、自分が思い描く未来をみんなの前で語ってもらいました。

最後は恒例の佐賀弁メッセージ。弓削シェフがある人に言われた言葉で、「明日やろうはバカやろう、今度やろうはクソやろう、いつかやろうはやらんでよか(やらんでよろしい)」。人は昨日より今日、今日より明日、小さな積み重ねで少しずつ成長するもの。今できることを今始めることで、大きな未来につながっていくというメッセージが込められています。

世界一のラザニアをお目当てに参加したという、佐賀大学芸術地域デザイン学部3年の杉山伊玖海さん、酒井みなみさん、上智寛さん。
「やりたいと思ったことは、まず行動に移すっていう部分が自分のポリシーに共通しているなって思いました」 (杉山さん)
「いろいろ試していくことで、自分がやりたいことに近づいていくんじゃないかと思いました」 (酒井さん)
「自分がやりたいことは、まずやってみることが大事なんだと気づかせてもらいました」(上さん)
本格的な就職活動を控えた3人にとって、さまざまな気づきや刺激を受けるきっかけになったのではないでしょうか。

講座を終えた弓削シェフは、「何か一つでも伝わることがあったらいいですね。自分は特別なことは何もやってなくて、目の前のことに向き合って、真剣に生きてきただけ。できれば海外には行った方がいい。広い世界を知ることで、日本をもっと好きになるし、自分のことを振り返られるし、いろんなことに感謝できるようになります」とメッセージを送ってくれました。

人生には思い通りにいかないこともある。もしかするとそっちの方が多いかもしれません。それでも一所懸命に逆境を乗り越えた先には、新しい道が拓かれているんだと教えてくれた弓削シェフ。悩んだとき、辛いとき、心に刻んだ言葉が行動の原動力になることも。
チャレンジすることが楽しみになるような、人生のレシピづくりのヒントが満載の講座となりました。

【弓削シェフYouTubeチャンネル「yugetube」】
◎パスタ世界一が作る!未来に残す究極のラザニア
https://www.youtube.com/watch?v=dwhc3qq_zek

 

講師プロフィール

弓削 啓太 先生 (SALONE2007 料理長)

藤吉雅春

1985年、 佐賀県生まれ。【シェ・イノ】、パリの三つ星【Guy Savoy】などで修業後、2011 年サローネグループ入社。南青山【イル・テアトリーノ・ダ・サローネ】のスーシェフを経て、大阪【クイントカント】オープンと同時にシェフを務める。
2018年3月より【SALONE2007】のシェフ就任。世界最大級の食品会社バリラ主催「パスタ・ワールド・チャンピオンシップ 2019」で日本代表として参加、世界チャンピオンに輝く。

 

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