大人の弘道館2

「佐賀の日本酒学」

-佐賀のお酒のこと、どんくらい知っとる?-

 
  • 講師:
    古賀醸治先生(窓乃梅酒造株式会社 代表取締役社長・佐賀県酒造組合会長)
    七田謙介先生(天山酒造株式会社 代表取締役社長)
    前田くみ子先生(古伊万里酒造有限会社 代表取締役)
  • 日時:2019年10月26日(土)
  • 会場:天山酒造株式会社

講座レポート

第4回目の特別講座は初の大人限定。名付けて『大人の弘道館2』!テーマはズバリ『佐賀の日本酒学』です。今や全国区になった佐賀ん酒について、実際に味わいながら学べるとあって、定員の3倍を超える応募の中、27人が集まりました。会場は佐賀県遺産で白壁漆喰が特徴的な、小城町の天山酒造の酒蔵。テーブルには小城名物の鯉のあらいや魚ロッケなど豪華な肴が並び、講座が始まる前から参加者たちの目はキラキラ!

3人の先生による講座は、佐賀県酒造組合会長で窓之梅酒造の古賀醸治先生による「佐賀ん酒、最高!」の乾杯の音頭で華々しくスタート。最初のお題『佐賀のお酒学』では佐賀ん酒の歴史について古賀先生が語ってくれました。鎌倉時代の文献に「肥前酒」として記録が残る佐賀ん酒。肥沃な佐賀平野、脊振、天山、多良岳山系など仕込み水が豊富で、酒造りには非常に適しているという土地柄に加え、第10代鍋島藩藩主・鍋島直正が余剰米を利用して酒造りを奨励したといいます。そういった背景をもとに、蔵元が育ってきたと古賀先生。東北の“端麗辛口”に比べ、佐賀ん酒は“濃醇甘口”で地区ごとにも味わいが分かれるそうで、参加者たちはお酒を味わいながら深い歴史話に聞き入ります。

歴史に続き、次のお題は『酒道』。昔は飲み方にも流儀があり、上下関係を重んじる「武家流」、歌を詠み盃を酌み交わす「公家流」、江戸中期より一般人に広まった「商家流」があったそうで、佐賀は武家流。また天領の唐津藩と鍋島藩でも流儀が違うといいます。そこで目上の人にお酒を注いでもらいにいく鍋島藩流義を参加者たちが実演、「お流れちょうだい、いただきます」と会場いっぱいにかけ声が響いていました。『季節に合わせて飲む学』では、お酒の旬と季節に合わせた風流な飲み方の説明があり、窓之梅酒造の“窓之梅”は直正公の詠んだ歌が由来だという古賀先生は「お酒はロマンも大事なんです」と力説。参加者たちはグラスやおちょこに菊の花びらを浮かべ、風流な“菊酒”を楽しみました。

そして天山酒造の七田謙介先生にバトンタッチ。『未来学』をお題に、海外進出の取り組みや戦略について語ってもらいました。現在ではアメリカ、アジア、ヨーロッパ26カ国と取引があるそうで、国内でも日本酒の輸出はこの9年で3倍に増え、世界では近年日本酒ブームが続いているといいます。海外でのPRの仕方や輸出の仕組みなど豊富なデータを披露しながら、テンポ良く話を進める七田先生。「海外ばかり行っているのは遊びじゃないってことが、やっとここで証明できた」と話し、参加者たちの笑いを誘っていました。

また同じく古伊万里酒造の前田くみ子先生が『未来学』についてトーク。110年の歴史を持つ蔵元で生まれ育った前田先生。大学で4年間東京に出たことが大きな転機だったと語ります。「中にいたら気づかない、佐賀、伊万里の魅力を知ることができた」と伊万里に帰ってから、人とのつながりを第一に伊万里のPRを始めたそう。フードコーディネーターや有田焼の窯元、嬉野のお茶屋さんとコラボして食卓をつくるイベントなどを積極的に実施している前田先生は、女性視点での佐賀ん酒の良さを熱く語ってくれました。

3人の熱い講座を受けて参加者たちからも「もっと佐賀ん酒を全国、世界に広げたい!」と力強い意見が飛び交い、恒例の佐賀弁メッセージで講座は締めくくられました。
「こいから、佐賀ん酒をみんなで飲まんね!飲まんばよ!」(前田先生)
「20年前、秋田の知人がオラが村の誇りとして、堂々と東京にお酒を持ってくる姿がうらやましかった。そういう存在を目指します!そいぎんた!」(七田先生)
「佐賀んもんは佐賀ん酒です。佐賀ん酒の宣伝もがばいしてね!」(古賀先生)
美味しい佐賀ん酒と食に心も胃袋も酔いしれた貴重な秋の夜。参加者たちはほろ酔い気分で会場を後にしました。