特別講座2

「海外使節団」帰国報告会

‐佐賀の若者たちが、海を渡って見てきたもの‐

 
  • 講師:佐賀県海外使節団(9期生・OB・OG/中村暖、百武奈々子)
  • 日時:2019年3月17日(日)
  • 会場:佐賀県庁 県民ホール

講座レポート

今年度の締めにふさわしく講座内容はグローバル!
講師は“世界を目指す佐賀の若者たち”です。みなさんは「佐賀県海外使節団」を知っていますか?2010年から始まった、佐賀ゆかりの若者をアメリカ西海岸へ派遣し、最先端の教育やビジネスシーンを経験するというプロジェクト。
今回は今年(2019年)2月25日~3月10日に渡米した高校生・大学生9期生による帰国報告会を「弘道館2」とコラボ、すでに世界で活躍中のOB・OG講師による講話も行われました。

使節団の訪問先は、Googleをはじめシリコンバレーの企業やスタンフォードなどの大学、NPO法人、現地で活躍する起業家や研究者など全27カ所。使節団の大きな特長は、学生自身が自分で訪問先を決め、アポをとる“自主性”です。報告会では団員9人が教育や医療、まちづくり等、それぞれの関心分野から視察を行い、活動内容を報告。団員たちが実際アメリカで何に触れ、何を見て、何を思ったか…肌で感じた臨場感あふれる報告に会場も熱気を帯びていきます…!最先端の情報も満載で、まさに幕末維新期に佐賀の先人たちが海を渡って養った“フロンティアスピリット”が現代に息づいていました。

今回の視察で大きなトピックとなったのは、最先端のAI事情。また他人の意見や情報をうのみにせず、これは本当に正しいのかと疑問を持って、じっくり考えた上で結論を出す思考方法、“クリティカル・シンキング”に触れることで、「物事に対する考え方が大きく変化した」と団員すべてから意見が上がりました。また教育現場の最前線やすべての人がイキイキと働ける職場環境、ジェンダーやマイノリティに対する意識の高さなどに触れ、日米の差を実感すると同時に、「日本文化の魅力を再認識した」という意見も多く出ました。

そして使節団OB・OGのファッションデザイナー・中村暖さんと、小学校教諭の百武奈々子さんがスペシャルゲストで登壇!自身のブランド会社の経営者であり、コラムニスト、現役の大学院生、と多彩な顏を持つ中村先生。高校1年生の時に1期生として使節団に参加し、1カ月間かけて世界を一周。当時はなんとなく観光気分で参加したそうですが、8年という時間をかけてその経験一つひとつが意味を持ちはじめ、今の活躍にすべて生きていると語ってくれました。「その時はわからなくても、気付いた時がはじまり。人が何と言おうと気づいた人が新しいモノを、歴史を作っていくんです」と熱く語ってくれました。

続く百武さんは2期生として参加、アメリカの教育現場を視察し、日本では見ることができなかった移民の子どもたちによる教育格差に衝撃を受けたと言います。帰国後、世界中の教育問題に関心を持ち、大学で出会った教授とともに途上国における体育教育について研究。その研究の一環として、カンボジアに渡り日本の運動会を各地で行うプロジェクトを行った百武さん。玉入れや借り物競争などに初めて取り組む、カンボジアの子どもたちのキラキラした笑顔の写真の披露に会場もほっこり和みます。このプロジェクトを通じ、カンボジア国内でも大きな格差を感じたという百武さん。「教育は個人の選択肢を増やす場。その可能性を見せていく教師でありたい。教育はどこでもできるけど、それぞれの国にあった教育が必要ですね」と力強く語ってくれました。

Q&Aでは「教育とは何か?」に始まるディープなディスカッションも行われ、観覧者として熱心に聞き入っていた佐賀のベンチャー企業の経営者から、「志が同じなら、官民学一緒になって一緒に学んでいかんね!うちは投資するよ」と熱い提案も!
今回のゲスト講師のお2人と団員からは「やるかどうか迷ったらやったらよか」、「アメリカもよかばってん、佐賀もよかってわかるばい」、「出会いば大切に、感謝ば忘れずに」と佐賀弁メッセージもきっちりいただきました。

もう佐賀も日本も飛び越えて、世界ばい…! 佐賀出身の若者のエネルギーを感じ、未来への期待感や可能性、興奮が佐賀県庁の県民ホールにたっぷりと満ちた「弘道館2」。4月から進学で佐賀を離れ、今回で「弘道館2」を卒業という受講生たちにとっても、大きな力を与えてくれたグローバルな“特別講座”となりました。

講師プロフィール

佐賀県海外使節団(9期生)

アメリカ西海岸に、2019年2月25日~3月10日に滞在し、Googleを始めとしたシリコンバレーの企業、スタンフォードなどの大学、最先端のNPO、現地で活躍する起業家、研究者などを視察した若者9名。

中村暖先生(海外使節団OB)
ファッションデザイナー・株式会社DAN NAKAMURA代表

1995年神埼市生まれ。佐賀北高芸術コース-京都造形芸術大空間演出デザイン学科卒、同大大学院超制作プログラム千住博研究室在籍。ファッションブランド「DAN NAKAMURA」代表取締役。
佐賀県高校生海外使節団として高校1年の頃、30日かけて世界一周を経験。その後、東日本大震災の被災地など全国で2000人以上に参加してもらい制作した絵を軸に2012年、県立美術館で展覧会を開いた。翌13年、第4回日本ファンドレイジング大賞特別賞。
15年、世界経済フォーラム(ダボス会議)が選出する次世代リーダー「グローバルシェイパーズコミュニティ」選出。16年、渋谷ヒカリエホールでファッションショー開催。17年、デザインストーリーズ「第1回アート&デザイン新世代賞」グランプリ。その他受賞・登壇歴多数。
DAN NAKAMURA
https://dannakamura.jp/

百武奈々子先生(海外使節団OG)
福岡市立野芥小学校教諭

佐賀県海外使節団参加後、世界の様々な教育問題に関心を持ち、大学で出会った教授と共に、開発途上国における体育教育について研究を行う。その研究の一環として、カンボジア王国にて運動会を行うなどの活動に携わる。現在は小学校教諭として、日本の子どもたちに世界を知ることの楽しさを教えている。